安定した職業に就くと本当に幸せなのか?
よく「安定した職業に就きたい」と言う学生を見かけます。
自分が大学生のとき身の周りにも居ました。
そのような人々に理由を聞いてみると、
「今の時代、民間は倒産するリスクが高いから。」とか、
「ワークライフバランスを重視したいから。」と言います。
確かにその理由は間違ってはいないと思いますが、
果たして、安定した職業に就くと本当に幸せなのでしょうか?
既得利権のある組織で一時期働いた私の経験と、両親の様子をふまえて考えていきます。
「安定している」とは何か?
安定している職業といえば、公務員・大手インフラ企業の社員・薬剤師・学校職員などが思い当たります。これらの職業の共通点は、
- リストラされることがない、もしくは少ない
- 倒産するリスクがない、もしくは少ない
- 残業が少ない
- 毎月決まった給料がもらえる
大体このようなところでしょうか。これらを世間で言うところの「安定」の定義とします。
安定した職業の問題点
リストラがない、倒産がない・・・というのはメリットだと思いますが、
その一方で発生すると私が考えるデメリットは以下のとおりです。
- 創意工夫をしなくなる
安定した組織は、「既得利権」というとおり、
収益を得るためのルートやルールが既に整備されているため、
その仕組みに基づいて収益を確保しているわけです。
したがって、仕事はルーティンワークが中心となります。
例えば、自分が行なっていたのは、決裁のための個人情報と金額のチェック作業で、
書類に書かれている情報とシステム上のデータをひたすら照合していきました。
決して私の経験年数が少ないからではなく、年次が上の人も同じような作業をしていました。
ルーティンばかりをこなしていると、「こうやったら改善できるのではないか」
「新しいサービスを生み出そう」という考えをしなくなります。
現在の仕組みのままが楽なのか、新しいものを取り入れることに消極的・閉塞的な空気が漂っているため、たとえアイデアを思いついたとしても、発案しづらいです。
- 潰しが利くスキルが身に付かない
これもルーティンワーク中心の弊害で、
他の組織や職業でも生かすことの出来るスキルが身に付きません。
私の親は元々公務員でしたが、定年が早かったため、年金を受給し始めるまでの間、
民間企業で働くことになりました。
しかし、結局は誰でも出来るような仕事に就いています。
その姿を見て、組織のルーティンワークをこなす能力があるだけで、
汎用的な能力が身に付いていないのではないかと思いました。
(もちろん、意識的に汎用的なスキルを高めている人は異なります。)
- 職業・組織が崩れたら自分も崩れる
潰しが利くスキルが身に付かない結果、
その職業または組織が崩れると自分も崩れてしまいます。
組織に依存する結果、安定するうちは良くても、不安定となれば一気に状況は変わります。
リストラや倒産がないというのは現時点での話であり、将来的にAIが普及すれば、
事務的なルーティンワークに充てる人員が削減される可能性は高いと思います。
安定した結果、何をしたいか?
私が働いていた既得利権のある組織の人々を見てみると、
目の前の仕事を淡々とこなしているだけで、みな暗い目をしていました。
「この人たち、安定しているだろうけど、幸せなのか?」と思いました。
安定している職に就いている人全員が不幸になっているわけではないと思いますが、
個人的には、上を目指して努力しているときの方が幸せを感じます。
親が子供に対して安定した職業・企業に勤めることを望む声も聞きますが、
安定=良い・幸せ
不安定=悪い・不幸
と安直に決め付けるのではなく、
自分にとって安定がどんなものをもたらすのか?
をよく考える必要があると思います。