生き別れた友達の影を追いかけて
私には生き別れた友達が居ます。
彼とは大学1年生のときに知り合い、4年間一緒に過ごしました。
彼はとてもユーモアのある人間で、周囲の人をいつも笑わせていました。
また、自由奔放かつ個性的な人間でした。
私はそのような人間性に惹かれ、近くに住んでいたこともあり、
特に用が無いときでも会って、たわいもない話を楽しんでいました。
しかし、大学を卒業した直後、私を含む周囲にいた人々の誰もが、
彼との連絡が途絶えてしまいます。
そのとき、学校からの帰り道で彼が何気なく言い放った言葉を思い出しました。
「俺って初めは他の人と仲良くできるんだけど、だんだん人が離れていくんだよね。」
事実、私の知り合いとくだらないことで喧嘩し、口を利かなくなる場面を見てきました。
彼も私と同じように、人間関係の側面で生きづらさを感じていたのかもしれません。
この言葉を自分なりに解釈すると、彼は消息を絶つことで、
仲良くしている人間から嫌われるのを未然に避けたのではないかと思います。
今でも彼に会いたい気持ちはありますが、彼が意図的に消息を絶ったことを尊重し、
無理に探すことはしていません。
彼と過ごす楽しみを失ったことは、この世界から色が1つ消えたように感じます。
その色が残ったままだったら、今の日常はもっと鮮やかだったかもしれません。
私は心の中に残った彼の影を追い続けています。